メルマガ【2016年9月号】目次
今回のメルマガ①【2016年9月号】ー個人情報保護法改正(その1)ー
平成27年9月に個人情報保護法が改正されました。主な改正のポイントは次のとおりです。
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ア 定義の明確化等
イ 適切な規律の下で個人情報等の有用性を確保
ウ 個人情報の流通の適正さを確保
エ 個人情報保護委員会の新設及びその権限
オ 個人情報の取扱いのグローバル化
カ 請求権
(首相官邸ホームページhttp://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/pd/pdf/gaiyou.pdf)
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個人情報保護法改正の重要なポイントのうち、今回は、「ア 定義の明確化等」についてご紹介します。
A 5000人要件の撤廃
重要なポイントとして、個人情報取扱事業者についての、5000人要件の撤廃があります。
現行の個人情報保護法では、5000人以下の個人情報を取り扱う事業者(小規模取扱事業者)が個人情報取扱事業者から除外されていますが、改正法では、5000人要件が撤廃され、小規模取扱事業者にも個人情報保護法が適用されることになりました。
したがって、改正法施行後は、取り扱う個人情報の数にかかわらず個人情報保護法に沿った取扱いをしていく必要があります。
B 個人情報の定義の明確化
改正法では、個人情報の定義が変更され、従来の内容に加え、
「(1)「特定の個人の身体の一部の特徴を電子計算機の用に供するために変換した文字、番号、記号その他の符号であって、当該特定の個人を識別することができるもの
(2)個人に提供される役務の利用若しくは個人に販売される商品の購入に関し割り当てられ、又は個人に発行されるカードその他の書類に記載され、若しくは電磁的方式により記録された文字、番号、記号その他の符号であって、その利用者若しくは購入者又は発行を受ける者ごとに異なるものとなるように割り当てられ、又は記載され、若しくは記録されることにより、特定の利用者若しくは購入者又は発行を受ける者を識別することができるもの」
のいずれかに該当する文字、番号、記号その他の符号のうち、政令で定めるもの(個人識別符号)が個人情報に当たることが明記されました。
(1)の具体例としては、顔認識データや指紋認識データ、(2)の具体例としては旅券番号や免許証番号等があります。
C 要配慮個人情報の定義の新設
改正法では、「要配慮個人情報」として、「本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報」が定義され、取得に関しては原則同意を必要とすることや、オプトアウト手続の禁止などの特別の取扱いが定められています。
今回のメルマガ②【2016年9月号】ー医療法改正(その1)ー
平成27年に「医療法の一部を改正する法律」が成立し、同年9月28日に公布されました。今回の医療法改正は第7次改正に当たり、「地域医療連携推進法人制度の創設」と「医療法人制度の見直し」を柱としています。医療法人経営に大きな影響を及ぼす「医療法人制度の見直し」のうち機関設計に関する事項の一部をご紹介します。
ア 医療法人の機関設計の変更等(理事会設置の義務付け)
平成27年に改正された医療法(以下、「改正医療法」といいます。)では、医療法人の機関に関する規定が一般社団法人、一般財団法人と同様に整備されました。
機関設計の変更点の一つとして、医療法人に理事会の設置が義務付けられました(改正医療法第46条の2)。
改正前の医療法では理事会の権限について具体的には明記されていませんでしたが、改正医療法では、理事会が医療法人の業務執行の決定を行う権限を有すること等が明確化されました(改正医療法第46条の7)。
イ 改正医療法(一部)の施行日
上記医療法の改正事項は、平成28年9月1日に施行されます。
ウ 経過措置
定款・寄附行為の変更については経過措置が置かれ、厚生労働省は、「施行日において現に存する医療法人の定款又は寄附行為について、理事会に関する規定が置かれていない場合には、改正法附則第6条の規定に基づき、施行日から起算して2年以内に定款又は寄附行為の変更に係る認可申請をしなければならない」とコメントしています。
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【コメント】
他にも、改正医療法において「医療法人制度の見直し」として医療法人のガバナンスが強化されていますので、機会があれば、次回言及したいと思います。
今回のメルマガ③【2016年9月号】ー社会福祉法の改正について(その1)ー
ア はじめに
平成28年3月31日、社会福祉法等の一部を改正する法律が成立しました。
改正後の社会福祉法(以下、「改正法」といいます。)では、経営組織のガバナンスの強化を目的として、すべての社会福祉法人において、評議員及び評議員会の設置が義務付けられました(改正法第36条1項)。
そこで、今回は、改正法のうち評議員及び評議員会に関する事項の一部をご紹介します。
イ 評議員の選任方法
評議員は、定款の定めるところにより選任されます(改正法第39条)。
また、施行日(平成29年4月1日)前に設立された社会福祉法人は、施行日(平成29年4月1日)までに、あらかじめ、改正法第39条の規定の例により、評議員を選任しておく必要があります(附則(平成二八年三月三一日法律第二一号)(以下、「改正法附則」といいます。)第9条1項)。
具体的には、定款を変更し、所轄庁による定款変更の認可を受け、評議員を選任する手続きを行う必要があります。このような手続きに基づく評議員の選任は、施行日である平成29年4月1日において、効力を生じます(改正法附則第9条2項)。
また、施行日の前日(平成29年3月31日)において社会福祉法人の評議員である者の任期は、平成29年3月31日に満了する(改正法附則第9条3項)ため、改正法が施行される以前から評議員を設置している社会福祉法人についても、あらためて、平成29年4月1日以降の評議員を選任する必要があります。
なお、評議員の選任方法としては、中立的立場である評議員の選任委員会を設置する方法等が考えられます。但し、理事又は理事会が評議員を選任又は解任する旨を定款に定めることは法律上認められません(改正法第31条5項)。
厚生労働省が作成した社会福祉法人定款例(案)には、次のとおり、評議員の選任方法が規定されています。
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(評議員の選任及び解任)
第●条 この法人に評議員選任・解任委員会を置き、評議員の選任及び解任は、評議員選任・解任委員会において行う。
2 評議員選任・解任委員会は、監事○名、事務局員○名、外部委員○名の合計○名で
構成する。
3 選任候補者の推薦及び解任の提案は、理事会が行う。評議員選任・解任委員会の
運営についての細則は、理事会において定める。
4 選任候補者の推薦及び解任の提案を行う場合には、当該者が評議員として適任及び
不適任と判断した理由を委員に説明しなければならない。
5 評議員選任・解任委員会の決議は、委員の過半数が出席し、その過半数をもって行う。ただし、外部委員の○名以上が出席し、かつ、外部委員の○名以上が賛成することを要する。
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ウ 評議員会の決議の不存在若しくは無効の確認又は取消しの訴え
改正法では、評議員会の決議の不存在若しくは無効の確認又は取消しの訴えが規定されました(改正法第45条の12が一般社団法人及び一般財団法人に関する法律を準用しています。)。
これにより、評議員会の招集の手続又は決議の方法が法令若しくは定款に違反し、又は著しく不公正なときなどは、評議員会の決議が、取り消される等のリスクがあります。
そのため、法令又は定款の規定を確認しながら、手続及び決議の方法等に誤りがないように、評議員会を開催することが重要です。
エ 社会福祉法改正に関するブログ
当事務所は、下記のブログにて、改正法に関する情報発信もしていますので、宜しければこちらもご参照ください。
http://ameblo.jp/shakai-fukushi-houjin
オ ご質問・ご相談はこちらへ
本メルマガの内容や改正法等について、ご質問・ご相談等がございましたらお気軽にご相談いただけますと幸いです。
例:評議員の選任及び解任は、評議員選任・解任委員会以外の中立性が確保された方法によることも可能であるため、その具体的方法など。